しもつかれジャパンは、栃木県の郷土料理「しもつかれを」を世界に誇れるサステナブルな郷土料理としての価値を、様々な観点から発信するウェブメディアです。 しもつかれを栃木県民が誇れる料理ブランドへとアップデートさせる事を目的に活動している「しもつかれブランド会議」が企画・運営しております。
しもつかれが初めて書物に登場したのが、約1000年前と言われています。当初は、大豆にお酢をかけて食べるというシンプルなもので、現在の状態になったのは江戸時代と言われています。
1000年もの間、変化しながら受け継がれてきた栃木の郷土料理。
しもつかれは独特な見た目と風味から、どうしてもキワモノ扱いされる傾向にあります。マイナスイメージばかりが先行し、しもつかれの素晴らしい価値に気づいていない方が多いのが現状です。「しもつかれブランド会議」が目指すのは、しもつかれを「サステナブル・ローカルフード」としてグローバルにブランディングし、栃木を代表する「地域資源」にリブランディングすることです。
「サステナブル(Sustainable)な社会」とは、「持続可能な社会」を意味します。
地球の環境を壊さず、資源も使いすぎず、未来の世代も美しい地球で平和に豊かに、ずっと生活をし続けていける社会のこと。まさに今「地球温暖化」は、人類が一丸となって取り組まなければいけないグローバルな社会課題です。持続可能な社会を目指すために、国連はSDGs(エス・ディー・ジーズ)と呼ばれる17の 「持続可能な開発目標」を掲げ、豊かさを追求しながらも地球環境を守り「誰一人取り残さない」ことを強調し、2030年までに達成しようとしています。
そのSDGsの理念は、しもつかれの「素晴らしさ」そのものということに気付きました。
まさに1000年受け継がれてきた「栃木の文化」が、「世界課題を解決する要素」を持ち合わせていたんです。これは誇るべきことですよね。その素晴らしいポイントを紹介します。
体に良いものしか含まれていない「発酵食品」であるしもつかれは「スーパーフード」とも言えます。
しもつかれを継続的に食べて健康的な状態を保つことができれば、予防医療の観点から考えても価値の高い食べ物であることが言えます。
SDGsのNo.3「すべての人に健康と福祉を」に合致します。
江戸時代に飢饉があったとき、その冬を生き長らえるために、それまで廃棄していた新巻鮭の頭、節分で余った大豆、お酒の搾りカス、干からびた大根や人参などを使い調理し、今のしもつかれの形になったと言われています。人々は本当に生きるか死ぬかの瀬戸際だったのでしょう。
そのときの体験を忘れぬよう「五穀豊穣」を願い、稲荷神社に御供えする文化が生まれたとされています。
現代は「飽食の時代」で、たくさんの食べ物が捨てられており「フードロス」は深刻な社会課題です。日本の廃棄量も年間612万t(農林水産省HPより平成29年度推計値)とされており、国民全員が毎日おにぎりを一つ捨てているのと同じ量です。
しもつかれが「捨てるものを再活用することで現在の形になった」という文脈を考えると、SDGs No.2「飢餓をゼロに」と合致します。
完成したしもつかれを重箱に入れて近所にお裾分けする文化があり、7軒食べると「無病息災」と言われています。
これは②の食糧難の際に、自分だけではなくご近所さんも一緒に生き長らえるために、自分の分を少しずつ分け与えたのではと推測されます。
現代でいう「 シェアリングエコノミー」文化が昔からあったのではないでしょうか。
これはSDGs No.1、2、3、10、11に当てはまります。
前述の通り、しもつかれは各家庭によって味が異なります。僕は「カレー文化」と近いなと思っていて、カレーも家庭によって味が異なるし、国によっても異なりますよね。でもどれも間違いではない。「それはそれでいいよね」という、認め合い・味の違いを楽しむ文化があります。
しもつかれもカレーと同様に、現代の「 ダイバーシティ」文化を実践していました。SDGs No.5、10、11、16に当てはまると思われます。
このようにしもつかれは、現代人が忘れ去ってしまった「日本人らしい文化」を持ち合わせています。
誤解を恐れずに言いますが、現代の栃木県民は、自分たちのコミュニティー外からのモノを受け入れにくい人たちが多いように感じます。
しかし栃木に1000年伝わるしもつかれを紐解くと、我々の先祖は「他人を受け入れ、認め合っていた」ことが見えてきます。
栃木県民本来の「受け入れる姿勢」をもう一度栃木で復活させることが、私にはサステナブル時代を生き抜く鍵になると思えてなりません。
栃木県民が誇るべき伝統あるしもつかれを、栃木ブランドの根幹に据えてブランディングすることが、栃木からグローバルへのメッセージになり得るのではと考え、「サステナブル・ローカルフード」として世界へ向けて発信をしています。