しもつかれブランド会議とは
改めまして、しもつかれブランド会議の代表の青栁徹と申します。
栃木県栃木市にて、グラフィックデザインやブランディングを主な業務とする「株式会社あを」を経営しております。
その一方で、ライフワークとしてしもつかれブランド会議も運営しております。
当会は、栃木県で1000年(諸説あり)にわたり受け継がれてきた郷土料理「しもつかれ」に込められた素晴らしい精神性を活かし、「いちご」や「餃子」と並ぶ栃木の観光資産としてアップデートすることを目指しています。また、栃木ならではの観光ビジネスの一つとして認知されることを目指し、さまざまなチャレンジを続けています。
活動は2018年1月にスタートし、2024年で7年目を迎えました。
現在、飲食店経営者、農業従事者、デザイナー、ライター、行政職員、インフルエンサー、音楽家、大学生など、多様なバックグラウンドを持つ約35名のメンバーが集まっています。世代を超えた多様な視点が、当会の強みです。
また、メンバー達それぞれのやりたいことと、しもつかれを結びつけることで、「しもつかれインフルエンサー」「しもつかれアレンジ料理家」「お囃子チーム」「オリジナル民謡」などなど、様々なコンテンツを生み出しております。
しもつかれを「日本のチャレンジシンボル」に
しもつかれブランド会議が目指すのは、「しもつかれの活性化」を通して、栃木県のビジネスを活性化させることは勿論のことですが、活動ビジョンとして発足当初から「しもつかれを日本のチャレンジシンボルに」というミッションを掲げ、挑戦を続けています。
私の仕事柄、さまざまな地域の伝統産業と関わる中で、しもつかれの抱える課題は、日本全国の伝統産業全体が直面している問題そのものだと感じました。
現代のニーズとのギャップから「古くさいもの」として定義づけられた伝統産業。この状況が続けば、今後10〜20年のうちに現存する事業者が亡くなり、多くの伝統産業が消失してしまう危機にあります。
そんな中で、私たちは「衰退産業」と呼ばれる伝統産業の希望のシンボルになりたいと考えました。嫌われ、期待されていない存在である「しもつかれ」が、「希望の星」へと変わっていくプロセスをリアルタイムで見ていただくことで、他の事業者にも「我々もやり方次第で再興できるのではないか」「しもつかれが再興できたのだから、私たちも可能なはずだ」と、希望を抱いてもらえるような「先行事例」を作り出すことに挑戦しています。
「しもつかれを見ると勇気が湧いてくる」と思っていただけるような存在を目指し、日本全国で同じ状況にある同志のために、「しもつかれを日本のチャレンジシンボル」として確立することを目指しています。
しもつかれとは何か
鎌倉時代初期に成立した「宇治拾遺物語」にも記載があり、一説ではさらに古い歴史を持つとされています。
栃木県を中心に、福島、群馬、茨城、埼玉、千葉の一部でも食文化として根付いている郷土料理で、特に2月の初午(はつうま)の時期に各家庭で食されます。また、「無病息災」や「商売繁盛」を願い、稲荷神社にお供えされる行事食でもあります。
主な材料としては以下のものが使用されますが、各家庭ごとに異なるのが特徴です。
- 大根
- にんじん
- 大豆
- 鮭の頭
- 酒粕
- 油揚げ
調理工程も家庭によって様々ですが、一般的には以下のような流れです。
- 大根とにんじんを「鬼おろし」というおろし器で粗くおろす。
- 鍋に酒粕以外の材料を投入し、煮込む。
- 最後に酒粕を加え、火を止めて数日間馴染ませて完成。
完成したものを「わらつと」と呼ばれる藁でできた容器に入れて、稲荷様にお供えしたり、屋根に投げたりして、五穀豊穣も願います。
次回はしもつかれの課題について、書きたいと思います。