Home BLOG 【しもつかれウィーク2021連動企画】しもつかれのアレンジに込めた想い / ホテルエピナール那須 「和匠ダイニング菜す乃」 料理長 荒井 皇文 さん

【しもつかれウィーク2021連動企画】しもつかれのアレンジに込めた想い / ホテルエピナール那須 「和匠ダイニング菜す乃」 料理長 荒井 皇文 さん

ホテルエピナール那須 / しもつかれの焼稲荷ずし

和・地・「人」 無二の味
―しもつかれの精神性も伝えたい―

「料理に、その時、その土地で『私』がつくる意味を考え、物語を添えたい」

那須町高久丙「ホテルエピナール那須」内の「和匠ダイニング 菜す乃」。明るく開放的な空間で振舞われる料理は本県、那須ならではの野菜や特産物がふんだんに使われ、多くの人の五感を震わせています。

 旧西那須野町出身の荒井皇文料理長(37))はこの道18年。昨年、SBMの理念、活動に共感し、「しもつかれウィーク」に参加し、ウィーク2020は塩鮭の代わりに栃木ブランドのヤシオマスを、大豆の代わりに味噌を使用した〝食べやすい〟「しもつかれ鍋」を考案。

 2021は、「あえて個性を強調した」という「しもつかれの焼稲荷ずし」(450円 <味噌汁、香の物付>・税抜)を開発してくれました。 しかし、ウイーク直前に県の緊急事態宣言に伴い新型コロナウイルス感染拡大抑制のため、2月末頃まで全館休館が決定。肩を落としていた私たちに「休館開けには、通年提供を予定しています」との吉報が届きました。

 今回、ドラマチックな展開をたどったアレンジ料理に込めた想い、料理人としての想いをお聴きしました。

荒井皇文料理長

料理を創る、作る上で大切にしていること、心掛けていることは何ですか。

― 先ずメニューや献立を作成する際、「自分がその料理をつくる〝理由〟」を考えます。若いスタッフにも伝えていますが、知識やスキルの差は経験によって当然あるものの、それぞれが「自分がその料理をつくる理由を考えることでストーリー性のある、想いの込もった一品ができると思っております。
 お客様にそのストーリーをお伝えすることが、料理をさらに美味しく感じていただけるとても重要なポイントにもなります。逆に「どうしてこの料理を作ったのですか」と聞かれた際に、「旬ですので」といった理由もそれはそれで勿論良いのですが、私がつくる理由にはなりません。支えて頂いている素晴らしい生産者の方々の想いと共に、食材の魅力を私の料理を通じてお客様にお伝えし、結果、「栃木の魅力」として感じて頂く。それこそが、料理をする上で一番大切な理由だと考えています。

 また、伝統・文化を重んじる日本料理の基本的な煮物や焼物の手法はしっかり継承しつつ、彩りや鮮やかさ、通常和食では使用しないような食材を取り入れるといった挑戦も大切にしていきたいです。現代の多様な食材、特に地野菜や特産物を主として取り入れることにも注力しています。「栃木」「那須」ならではの日本料理を提供しようと心掛けております。    

 

「和匠ダイニング 菜す乃」の魅力。冬季にお薦めのメニューは何ですか。

― 先程と重複しますが、「栃木」「那須」の食材を使用したこの土地ならではの日本料理を提供させて頂いている所が魅力の一つだと思います。
 冬季に関しては幾つもございますが、中でもご好評頂いているのが那須の畠山農園の赤ねぎを使用した「葱鮪鍋」や那珂川町の温泉を利用して養殖された「温泉とらふぐ」の会席コースがお薦めとなっております。

 

「しもつかれの焼稲荷ずし」(450円 <味噌汁、香の物付>・税抜)についてお聴きします。 開発する上で特に気を付けた点、こだわった点は何ですか。

 ― 今日まで代々受け継がれてきたしもつかれの良さを壊さぬ様、使用する食材や味は勿論の事、大根や人参の端材を主に用いフードロスを減らすといった精神性も踏襲した調理工程にもこだわってお作りしています。

 

味、盛り付けなど、特にどのような工夫を凝らされましたか。

― 元々その独特なイメージから好き嫌いが激しく分かれる料理だと思います。
 しかし、全体的な味付けを優しくし万人受けするようにアレンジしがちな所を今回敢えて魚や酒粕の風味を強調しました。しもつかれの味わいをしっかりと感じて頂きつつ、油揚げや味噌の甘さで全体を包み、仕上げに表面を焼くことで香ばしさも加えバランス良くまとめました。
 盛り付けの際には「経木」と呼ばれる塩原名産の薄い木の板を使用し、環境にも配慮した提供方法を考えました。

 

「しもつかれ」「栃木県」の未来に向けて何か願い、残したい、繋ぎたい想いはありますか。

― 人によってその解釈や価値観は様々だと思いますが、しもつかれこそ最強の郷土料理であると思っております。正月や節分の残り物を使用し、冬場の栄養摂取や保存性にも優れた、正に先人達の知恵がつまった料理です。
 現代に於いては利便性や効率性ばかりが求められますが、こうしたその地域独自の歴史ある料理から学ぶ点は数多くあると感じております。また、受け継がれてきた意味をしっかりと未来へ繋げていきたいと考えています。

 

「菜す乃」をどのようなお店にしていきたいですか。または荒井様ご自身の今後の目標は。

― 那須は全国的に観光地として有名ですが、〝食〟の発信源としてはまだまだ認知されておりません。
 和牛や乳製品、野菜、味噌、醤油、地酒など、素晴らしい生産者の方々が沢山いらっしゃる中で、我々料理人が先頭に立ち、料理人として「那須」「栃木」の魅力を発信し続けることでお客様は勿論、生産者、業者の方々など皆様が幸せになれる様な、地元の方からも愛される店舗作りをしていきたいと考えております。
 また自身の目標については、こうした食への取り組みが少しでも地域への貢献や活性化に繋げられればと思いますし、それが何らかの形で評価となり、共に働くスタッフが今以上に誇りを持てる職場にすることが今後の目標の一つです。

店舗情報:

ホテルエピナール那須:日本料理「和匠ダイニング菜す乃」
 
  • 開催場所:栃木県栃木県那須郡那須町高久丙1(MAP
  • 電話:0287-78-6000

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