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個性ドリブン#6[梅田 貴之]- シモツカレヤンキー コラボ企画 –

by クロ
個性ドリブン#6[梅田 貴之]

しもつかれにインスパイアされたアパレルブランド「SHIMOTSUKARE YANKEE(シモツカレヤンキー)」。

ただ洋服を販売するブランドではなく、しもつかれを「栃木の個性」と定義し、ローカルで個性を武器に生き抜く人を応援するするというブランドコンセプトがあります。

本企画「個性ドリブン」は、シモツカレヤンキーのブランドプロデューサーであり、栃木市のブランディングデザイナー、しもつかれブランド会議(SBM)代表の青栁徹が、これまでコラボレーションさせていただいたブランドや人物を「個性」を切り口に紹介する企画です。

第6回目は、「しもつかれウィーク2021」で、SBMをイメージした楽曲を提供してくれた梅田貴之さん。

若き頃に才能を開花させプロのバンドマンとして活動をし、現在は高根沢町の「The Creators Department」のスタッフとしても働く中で、個性をどう捉えているのかを伺いました。

個性ドリブン梅田貴之 宝積寺駅

大会で優勝しプロの道へ。

梅田(以下、梅):親の影響でドラムを初めてから、10代はずっとバンドをやっていました。家族全員音楽好きで楽器もやっていて、ドラムも初めは家族のおもちゃとして買ったんですけど、ずっと続けたのは僕だけでしたね。ドラムを最初に触ったのは小学3年生からですね。誰も教えてくれる人が居ませんでしたが、実家が田舎なので家で普通にドラム叩いて練習してましたね。

青栁(以下、青):音漏れでご近所から苦情はなかったの?(笑)

梅:漏れましたけど、物珍しかったのかご近所さんには「どんどん叩きな」と。初めてライブやったのが中学3年生の文化祭で、学校のイケイケグループの人たちに混ざってやってましたね。その頃からちょっとずつ性格的に明るくなりました(笑)。

青:ドラムできる人ってそんなにいないもんね。

梅:そうですね。特に栃木の田舎だといないですね。文化祭でドラム叩いたのが楽しすぎて、高校でも部活に入らずにバンドを続けていました。そこからはずっとバンド人生です。元々ドラム始めた頃から、音楽に携わる仕事がしたいなと思っていました。音楽をやりたかった高校卒業後も進学する気はなかったです。一応音楽の専門学校のドラム科の体験入学にも行きましたが、そこの先生に「君は上手だから来なくて良いよ」と(笑)。

青:既に来る必要もないと(笑)。

梅:東京の専門学校の先生に言われたので、教わらずにこのまま個人で練習を続けた方が良いのかなと思いました(笑)。高校卒業の時に、生徒の進路先をまとめた表が配られたんですけど、そこに「在宅」という欄があって、1と記載があって間違いなく僕だなと(笑)。

青:在宅(笑)

梅:それでもやることが決まっていたので、恥ずかしいという気持ちは全くなかったですね。その後はバイトをしながら、高校の友達や宇都宮で知り合った人とバンドを始めました。その後2009年、10代最後に出た「閃光ライオット」というバンドの大会で優勝しました。

青:それはどういう大会?

梅:「SCHOOL OF LOCK!」というTOKYO FMのラジオ番組の企画で、バンドメンバー全員が10代でなければならないというルールがあって。出場したら優勝したんです。5500組参加で、全部で4次審査までありましたね。優勝後、音楽事務所から声もかかって、そこからツアーに行ったりしました。

青:ツアーしたってことはCDも出したんだよね?

梅:2010年にはCDデビューしました。アルバムも10枚以上は出しましたね。

青:そんなに。すごいね。

梅:「閃光ライオット」で優勝した「シットハプニング」というグループを長い間続けてきたんですけど、2019年の6月に解散しました。解散後、自作の曲をネットで配信していたら動画や絵を描いてくれる人と知り合って、ボーカロイドを使って曲作りをして配信をしていました。
 それを始めたきっかけは、バンドの時はほとんどの曲はボーカルが作っていたんですけど、僕が作った時もあって。僕の曲も良かったんですけどバンドのイメージに合わないということでボツになった曲もあったんですけど、自分で作った曲は愛着が出るので、このままボツにするのは勿体無いと思い、ボーカロイドを使って配信を始めました。ボーカロイドの良いところは、自分が歌が苦手だとしても曲を作れるスキルさえあればできるので使い始めました。趣味として配信していたんですけど、聴いてくれる人が増え、曲作りを依頼されるようになったり、楽曲を提供するようになりました。ボーカロイドの楽曲制作から、企業やアイドルや音楽グループに楽曲提供を行ったりしながら、ドラムも辞めていないのでバンドのサポートで叩きに行っています。

青:本当に音楽ガッツリやってきたんだね。

梅:「シットハプニング」時代にミュージックビデオの撮影があったんですけど、監督やスタッフと絡むうちに自分でも動画を撮れるようになりました。レコーディング作業も自分でバンドをやっていたからできるようになったというのもあり、今も仕事につながっています。

個性ドリブン梅田貴之 センター内

小さな頃からやりたいことに集中できる環境だった。

青:小さい頃の環境として音楽が身近で、音楽をやるのが自然だったんだね。

梅:やるものだなーと思ってました。苦ではなかったですし、楽しかったのでやるべきだなと。音楽以上に楽しいものがなかったのもあります。音楽が一番楽しかったのでずっと続いている感じです。

青:音楽以外に興味は?

梅:漠然と父の仕事を継ぐのかなーとは思ってました。父が建具屋をやっていたので、三兄弟のうちの誰かは継ぐんだろうなと。でもウチの親は「仕事を継げ」というスタンスではなく、「やりたいことをやった方が良い」という感じで。「今後の時代的にも建具屋はオススメしない」とも言われました。父も学生の頃バンドをやっていたので、「自分が夢を叶えられなかった分、頑張ってやってくれ」とも言われてたので何の邪魔もなく楽しく続けられました。

青:小さな頃からやりたいことに集中できる環境だったと。

梅:そうですね。他に目移りしたものもなかったですね。

青:作曲したり、ギターやベースを弾いたりと、音楽の中で拡張したんだね。確かにそれだけの長いキャリアがあれば色々やりたくもなるし、成長できる時間もあるよね。自然に当たり前のように「自分は音楽で生きていくんだ」と思ってたんだね。

他にもバンド活動する人も多いと思うんだけど、その中でも自分の個性というか特徴をどう捉えているのかな?

梅:人から言われるのは「なんでもできるオールラウンダータイプだよね」と。ギターもベースもそこそこ、歌も上手だと言われるんですが、「器用貧乏」とも言われて。それを言われることが嫌ではないのですが、どんな楽器でもある程度までは上手くなるけど、一流の人には敵わないなと。その中でもドラムは明確に上手かったとは思います。

青:それは一番昔からやっていたからなのか、やっていて楽しかったからなのか。

梅:やってて一番楽しかったですね。ドラムが一番達成感がありました。ドラムはバンドの中でも引っ張る役割でもあるので、上手く行った時の高揚感は大きかったですね。

青:自分自身がバンドを引っ張る感じも好きだった?

梅:そうですね。ステージ上の配置では一番後ろですけど、その代わりメンバーも観客も全て見通せるので重要なポジションだとは思ってました。スポーツだと監督的な役割かなとも。

青:そこにやりがいを感じていたんだね。僕も高校生の頃にバンドやっていた時期があるんだけど、メンバーのドラムのリズムが安定しなくて困ったこともあったな(笑)

梅:楽器の良いところは上手い下手で楽しさが変わらないところですよね。ドラムに関しては「叩いて怒られないものってこの世にあるんだ」と思いましたからね(笑)。

青:(笑)なるほど。

梅:そりゃあ、ストレス解消にもなるから楽しいですよね(笑)

個性ドリブン梅田貴之

プロとは、好きなことを続けるために
どう活動していくかを必死に考えた結果。

青:僕がめちゃくちゃ音楽をやっていた20年以上前は、それこそインターネットが普及し出した頃だったので、YouTubeもまだなかった時代。現代はリスナー側からすると自由に聴ける環境にはなったし、演者側も気軽に配信できるようになったんだけど、逆に考えると誰でも気軽に曲を配信できる時代でもある。現在ネット上にアップされている曲だけでも、一人の人間の一生分の時間を使っても聴き尽くせないほど膨大な曲があると言われていて、その中でも自分の曲を選んでもらうことが必要になってくると思うんだけれども、自分の特徴・強みをどう捉えて活動してますか?

梅:今は、曲の出し方自体も何通りもあって、それこそ今まで引きこもっていた人も曲を出していたりして。そうなるとより斬新なものが増えていて、コロナ禍でライブがしにくい環境にありながらも、音楽全体のレベルの平均点は上がってきている気がします。海外のものを取り入れるのは当たり前で、今まで誰も思いつかなかった手法で曲を出す新人たちが増えていて、そうなると今まで実力があった人もより良いものを作らなければいけなくなる。

青:なるほど。

梅:逆に曲作りをする人も増えたので、「ただ好きな曲を作ったから聴いてもらいたい」くらいだと中々聴いてもらえない。でもその気持ちは絶対に必要なもので、聴いてもらうための「きっかけ」や「味方」を増やし、聴いてもらえる機会を増やすことを意識して曲作りをしていますね。

青:音楽を作るソフトとしてのアプリケーションもかなり高機能化していて、僕が本気で曲作りしていた時代よりも気軽に高品質なものが作れるようになっているなと。音楽を楽しむ上で、手軽に曲作りできるようになったのは良いことだけど、それを踏まえた上でプロはどう行動するかを考えなくてはいけない時代なのかなと。

梅:こういう言い方失礼かもしれないですけど、やっぱりプロはやり方上手だなと思いますね(笑)。やり方って結局音楽が上手ってことと変わらないと思うので、自分が好きな音楽を続けるためにどう活動していくかを必死に考えた結果のやり方になっている。

青:「ミスターチルドレン」とか「サザンオールスターズ」とか、曲としての自分たちの世界観がしっかりと構築されていて、その世界観が好きだからこそファンは買い続けるんだよね。

梅:ブランド力ですよね。例えばミスチルの櫻井さんが別のバンドの曲を歌ったとしても、櫻井さんのあの世界観が出ますよね。それこそがブランド力だなと。そこまで構築できた人はやっぱり強いなと思います。

青:自分の強みや個性を「ブランド」として昇華させて曲として表現しながら、自分にしかできないことを見出していけないとキツイ時代なのかなと。今回「しもつかれウィーク2021」でSBMとコラボした際に、SBMをイメージした楽曲を提供していただいたんだけど、その辺の想いを聞かせてください。

個性ドリブン梅田貴之

僕らが先駆者であり、今後これをマネする人が出てくると思うと楽しみでしょうがない。

梅:少し前まで、新しいものを受け入れ難い気持ちがあったんですが、一度踏み込んで取り入れると思ったより楽しくて。でも取り入れ過ぎると自分がそれに飲み込まれた気もしちゃうんですが、その曲を作ったのは僕だから、意識せずとも僕の色が出ちゃうんですよね。そう気付いてから新しい手法への挑戦が楽しくなりました。 
 今回SBMとのコラボのお話をいただいた時、どんな風になるかワクワクしかなかったですね。今回提供させていただいた曲も、今までチャレンジしたことのないジャンルだったんです。

青:新しい挑戦だったんだね。

梅:でも敢えてそうしたというよりも、青栁さんのお話を聴いたりSBMやしもつかれの歴史を知ったら、今までやったことないジャンルだけど、こういう曲が合うなと自然と湧き上がってきたんです。僕にとって新鮮な食材が集まった状態で考えられたので、ワクワクに繋がったのかなと。新しいゲームを買った感じですよね、今からやりますみたいな(笑)。ワクワクしかない状態で挑めました。 
 それと、しもつかれが音楽とコラボするとは絶対に誰も思っていないので、それが面白いなと。それを僕が作れると思った時に、小学生みたいな回答になりますけど単純に楽しかったです(笑)。

青:嬉しい!音楽って「正解」「不正解」がないと思っていて、目の前にある材料をどう料理するかは自分次第ながらも、梅ちゃんならではの解釈を入れてくれて、そこから生み出された曲がああいう感じだったのは必然性があって僕も聴いて腑に落ちたんだよね。「しもつかれからこの曲が生まれたの?」という新しさもあるけど、音楽としもつかれという今まで関係性がなかったものが結びつくことによって、新しい価値観、新しい解釈を世の中に提案できたのかなと。「こいう楽しみ方あっても良くないですか」という提案として、現代音楽と郷土料理がコラボすることによって、独自の解釈からしもつかれの可能性を感じてもらうみたいな。しもつかれ自体も「正解」「不正解」が定義された料理ではないので、楽しみ方の提案として多くの人に「可能性」を感じてもらえたら良いなと。

梅:誰もコラボするだろうと思いつきもしなかったことにチャレンジしたことは、ある意味新しいルールを作れたなと思っていて、その機会をいただけたのは嬉しいですね。僕らが先駆者であり、今後これをマネする人が出てくると思うと楽しみでしょうがない。

青:「しもつかれで作曲してもいいんだ」と一気に可能性が広がるよね。SBMではその他にも「しもつかれ×アート」「しもつかれ×デザイン」などにもチャレンジしていて、これって誰かがファーストペンギンとして飛び込んでくれたからこその拡張なんだよね。それを見た人が「自分もやってみたい」とか自分ごととして捉えてもらえる機会にもなる。そうしたプレイヤーが増えることが、しもつかれを盛り上げることになり、「あの人が最初にチャレンジしたからこの文化ができたんだ」と先駆者もフォーカスされることになる。

梅:その可能性を感じたので、作るときのモチベーションも上がりましたね(笑)。

青:僕も一緒にチャレンジできたのが凄く嬉しくて、正解がないからこそやってみないと分からない状況の中で、同じビジョンを持つ人が集まってそこを目指すというのが凄く大事だなと。それが個人の成長にもなるし、地域としても次世代の可能性を生み出していることにも繋がっている。僕はビジョンを共有する人たちと一緒に、「これ誰もやったことないだろ」という誰もチャレンジしてこなかった領域に踏み込むのが大好きなんだよね。

梅:そういうの見つけたときの感情ったら最高ですよね(笑)。誰もやったことないから誰も文句も言えないし(笑)。

青:例え受け入れてもらえなくても一発目はそれで良くて、まずは先行事例を作らないと判断材料すらないわけだから、それを作ることが大事だなと思っていたので、一緒にチャレンジできて楽しかったです。

梅:こちらこそです。

青:最後に梅ちゃんが思う「個性」って何かな?

梅:あるものが持つ「固有の名称」が、そのジャンルとして定義されることだと思っていて、それを突き詰めることが結果として「個性」となるのかなと。 
 例えば、僕は「J-POP」のロックバンドをやっていたんですけど、ジャンル的な言われ方をするんじゃなくて、「シットハプニングというジャンル」になることかなと。しもつかれの味はしもつかれしか無いように。

青:「その人だからこそ生み出せる独自の世界観」を生み出せるかだよね。そういった自分というジャンルを作り上げていけるかだよね。

梅:僕個人の目標としては、僕が知らない人が僕を呼び捨てにして僕について喋っているようになることですね。それって芸能人と一緒ですよね(笑)。そうなれたら勝ちですよね。

青:確かに(笑)

梅:だけど直接会っ時には「梅田さん」って言ってくるみたいな(笑)。そうなりたいですね。

Information:

梅田さんが監督・撮影・編集・出演までこなした「とちぎの星PR動画」:
https://www.youtube.com/watch?v=jFKMzHkgJ48

シットハプニング
https://www.youtube.com/watch?v=q6aL1PZOaok

千年ノ美 -しもつかれブランド会議 theme-
https://youtu.be/K05gH2yg_5Q

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1 コメント

さなえ 2021年5月9日 - 5:12 PM

『千年ノ美』何回聴いても飽きのこない曲ですよね🎶 しもつかれの歴史や 和 を感じとれる流れから、しもつかれを世界へ向けて発信するような 躍動感溢れる表現🌍️✨

今後の梅田さんのご活躍にも 期待します‼️

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